食事介助は介助する人とされる人の間で信頼関係が無いと事故につながる危険性が高まります。
認知症が深い場合、会話が成立しづらかったりするとお互いとまどいもありますが、声掛けや食事中の会話の仕方次第でコミュニケーションを取ることはできます。
会話によるコミュニケーションは、介助される方の人格や生活習慣を尊重することができて、結果的に信頼に繋がります。
それでは会話を頑張らなくては!と無理をすると、ぎくしゃくしてしまったりそういう無理はどんな相手にも伝わってしまうので、力を入れすぎるのはよくありません。
そのためには、ポイントを抑えておくことが大事です。
コミュニケーションは食事前から取ると良いでしょう。
食事前に声掛けをすることで、今から食事を摂るという認識をしてもらうことが出来るし、心身ともに準備体制に入ることができます。
声掛けの例としては
「おなかが空きましたね」「もうじきご飯ですね」「今日の献立は美味しそうですよ」などがおすすめです。
食事が始まる前に、トイレに行ったり手を洗ったり、食事をしやすい姿勢をとるのも「今から食事が始まる」という区切りとなり、自然な声掛けがしやすい準備のひとつです。
私の勤めるデイサービスでは、他の職員が食事の支度をしている間に、椅子に座った状態で体を動かしたり、口腔体操をして「今から食事が始まる」ということを意識していただきます。
体操を行う時は、職員がその日いらしている利用者さん全員の一番前に立って、体操時の数を数えたり、時には利用者さんに問いかけをして答えてもらったり、一緒に大きな声で発声するなどして、毎日の食前のコミュニケーションをはかっています。
食事前には、みんな揃って「いただきます」の挨拶をするよう努めています。(中には自分の前にご飯がきたら、すぐに食べ始めてしまう方もいらっしゃいますが、極力揃えるようにしています。)
本人の好きな食べものがわかっていて、それが食卓に上った場合は「今日のメニューは~ですよ」とか「○○さんのお好きな~がありますね」などの、具体的な声掛けと説明をすると、食欲を掻き立てることができます。
食事中、飲み込む時にむせたり飲み込みづらそうな場合は「ゆっくりたべましょう」と声掛けをすることで、誤嚥を防げます。
食後は口腔ケアをして、歯磨きやうがい、義歯の手入れを行うと、ここでも言葉によるコミュニケーションを取ることが叶です。
施設では必ず食事や水分の摂取量を記録していますが、自宅であっても同じように記録を残しておくと、体調や好みも把握しやすくさらなるコミュニケーションづくりに役立てることができます。