高齢者は皮膚が乾燥しやすく弾力も無いため、少しの力や摩擦で傷がついてしまうことがあります。
その時に、免疫力や体力が落ちていると、傷から細菌が入って悪化することも珍しくありません。
皮膚の弱さ具合は若い人には想像もつかないことですが、一例を挙げると、高齢者の方の体をお風呂で体を洗う時にごしごしと強くこすってしまうと、それだけで皮膚を傷めてしまうことがあります。
寝たきりの状態の人に褥瘡ができるのは、皮膚が弱くなっていることも大いに関係しています。
免疫力が落ちると嚥下や呼吸の機能も低下するので、嚥下障害や誤嚥からの肺炎など危険度の高い症状を引き起こすことも少なくありません。
免疫力の低下は体力低下も引き起こすので、介護が高齢者の方にとって日々の健康管理はとても大事な上に、感染症の知識を持つことも大事です。
高齢者の方が、免疫力が低下することで罹る感染症はいくつかありますが、中でも疥癬(かいせん)という、ヒトヒゼンダニの皮膚寄生によって起こる皮膚感染症は、周囲の方への感染力も強いので要注意です。
疥癬には、通常の疥癬とノルウェー疥癬(通常疥癬が重症化したもの)とがあります。
この2つはそれぞれに違いがあり、まず寄生するダニの数が通常疥癬では1000匹以下のところ、ノルウェー型疥癬は100万匹以上で感染力が強いです。
施設や集団生活を送られている方の中から患者が出た場合は、集団感染化もありうるので早めの対策が必要となってきます。
とはいえ、潜伏期間は約1ヶ月と長いため、感染に気づかずに直接接触をして感染る可能性は大です。
そのため、疥癬の疑いがある症状を持つ方が出たら、よく観察して早めに医師に受診をして適切な対応をすることで、広がりを防ぐことができます。
通常疥癬の場合は、手首や腕の関節やおなかのようなやわらかい部分に発生し、激しいかゆみを伴います。
痒みが強いため、掻きむしる方も多いのでわかりやすいかと思います。
対するノルウェー疥癬は、必ずしもかゆみが発生するとは限りません。
皮膚は乾燥してカサついたり、垢が溜まっているように見えたりします。
疥癬の元であるヒトヒゼンダニは0.2~0.5mmと小さいく、肉眼で発見して駆除ということが困難です。
人のフケや垢、ほこりから人の皮膚に住みつくのですが、この時免疫力が落ちているとどんどん繁殖していきます。
寝具や肌に触れる衣類を清潔に保つのは勿論のこと、普段の食事の誉田にも、免疫力を高めるような食材を使ったり規則正しく食事を摂ることも疥癬予防に役立ちます。
医師にかかると、飲み薬と塗り薬で治すことができますが、完治までに1ヶ月かかることもありなかなかの長期戦になることが多いです。
薬の塗り忘れや、もう大丈夫という自己判断が再発や感染拡大を招くため、自己判断はしないようにしましょう。