近年、冬から春先にかけて、になると高齢者介護施設でのノロウイルス集団感染のニュースが飛び込んでくるようになりました。
ノロウイルスは嘔吐下痢症の一つで、一年中感染の機会はあるのですが、爆発的な感染が見られるのは11月~3月ぐらいまでの冬場です。

ノロウイルスは乾燥や熱に強いため感染力が強く、患者の嘔吐物の始末が不十分だと、それらが乾燥して空気中に舞い、口に入るといった塵埃感染もあります。

高齢者施設や学校など、集団で過ごす時間が長いところでは徹底した衛生管理が求められますが、防ぎきれていないのが現実です。

ノロウイルスの潜伏期間は1~2日、感染経路は生牡蠣や二枚貝、加熱が不十分なものを食べる、既に感染している人が感染の自覚症状がない間に調理に携わり、それを口にするといった、経口感染が主です。

集団生活をしている施設や学校で感染者が出ると、その人の手指についたウイルスが、ドアノブや手すりを介して人から人へ感染ったりするため、結果的に多人数が感染してしまいます。

実際にあった、高齢者施設での集団感染の原因例としては、嘔吐者が出た時に(とっさの場合が多いため)素手で嘔吐物の処理をしてしまったり、入所タイプの介護施設では、衛生観念が低い方によるトイレ後や食事前後の手洗い不足、下痢の症状が出ている方の入浴による入浴設備を介しての感染があります。

適切な汚物処理は「すばやく」「乾燥させない」が原則で、処理時は塩素系漂白剤を薄めたものを用意。
手袋やくつガバーはビニール製の使い捨てできるものを2重またはそれ以上にし、粉塵の吸い込みを防ぐためのマスク、しゃがんで汚物処理をする場合に衣類に汚物が飛び散らないように膝下まであるビニール製のエプロン、使い捨てできる雑巾やペーパータオル、ゴミ袋数枚があると良いでしょう。
準備したいアイテム数が多いため、冬の時期はこれらがさっと用意できるように、わかり易い場所に常に一式用意しておくと、素早い対応ができます。

ノロウイルスに罹ると、猛烈な吐き気と嘔吐がおこります。
重症化するとこれに激しいゲルも加わり、水様性の便が何度も出ます。
熱は37~8度とそれほど高くはならないものの、嘔吐と下痢でかなりの体力を消耗してしまいます。

また、大量に水分が出ていってしまうため、脱水症状が起こりやすくなります。
そのため水分補給はとても大事なのですが、症状が激しい時に水分を摂ろうとすると吐いてしまうこともあり、これが誤嚥や窒息に繋がる危険もあります。
そのため、患者の様子をよく観察して、症状がおちついた頃を見計らって少しずつ水分補給をすることが大事です。