食事を摂る時に椅子は座りづらいけれど、車椅子なら座位の姿勢が保てるという場合は車椅子に乗ったまま食事をするのがおすすめです。
車椅子は一般的に、背中や座面が体を受け止めやすいように柔らかかったり、座面は前方が少し高い傾斜がついていて、食事を摂るのに最適な「前かがみ」の姿勢が取りづらい造りになっています。
背中にクッションをあてるなどして、体を後ろに預けない姿勢を作ることが大事です。
車椅子の高さを調節する方法は座面にクッションを敷くぐらいですが、細かい調整が難しいので、ホームセンターで手に入るガス圧のテーブルなどを利用してテーブルの高さを調整するのが良いでしょう。
フットレストに足を乗せている場合は、食事時は足を降ろして、両足は少し開き、足裏が床につしっかりくようにします。
体の大きさや身長によって足が床につかない場合は、膝が直角に曲がる位置から下に台を置くなどすることで対応します。
食事を口に運ぶ介助をする時には、車椅子に座っている人よりも低い位置に座ると、自然な形で前傾姿勢が取りやすくなり誤嚥を防ぐことができます。
リクライニング式の車椅子を使用している場合は、できるだけ上半身を起こした状態にします。
両足は床に着かないことがほとんどなので、フットレストに両足裏がしっかりついている事を確認します。
リクライニング式の車椅子は、頭も支えるために背もたれの部分が後頭部の真ん中辺りまであることが多いため、そのままの姿勢で食事を摂るとなると頭が上向きになって誤嚥の原因になります。
頭の後ろには枕などをあてて、頭が上を向かないような姿勢をつくります。
椅子に座る場合でも、車椅子に座っている場合でも問題となる姿勢は「仙骨座り」といい、ずっこけすわりとも言われています。
この座り方は、食事を口元に運びにくくなって食べこぼしが増えたり、誤嚥のもととなります。
介助者は食事前に、椅子に深く腰掛けられるように声掛けをしたり、椅子と腰の部分に隙間が出来ないように、ぐっと引いてあげたりすると良いでしょう。
加齢によって、立っている時や座っている時に背中が丸まっている「円背」の方は仙骨座りになりやすいと思われがちですが、必ずしもそうとはいえません。
仙骨座りになってしまう原因は一つではなく、複数重なっていることも多いため、原因の見極めとそれに合った正しい改善が必要です。
少しの工夫で、安全な食事が摂れる姿勢を自然にとることができ、効果が期待できるのが食事の時の正しい姿勢です。