嚥下障害は、誤嚥を引き起こす確率の高い症状です。
誤嚥は、本来食道を通るべき食べ物や飲み物が、誤って器官や肺に入ってしまうことを言い、肺炎の原因にもなります。

気道に入ってしまった場合は、窒息から命の危険にも繋がります。
お正月になると、高齢者がお餅を喉に詰まらせるニュースを耳にしますが、あれも誤嚥による事故のひとつです。

高齢者の場合、病気や加齢によって舌や喉の筋肉や飲み込む力が衰えるなどが原因で誤嚥が起こりやすいので、毎日3回ある食事時は特に注意が必要です。

嚥下障害の判断は、VFと言われる嚥下造影検査をすると良いとされていますが、設備のある病院でしか出来ないのが難点です。

そのため、まずは普段の食事時にそばにいる人や介助者が、食事中や飲食時や日常生活で、嚥下障害の傾向の有無をチェックすると良いでしょう。

嚥下障害の傾向にある場合は、食事中にむせることが多い。むせる時は何を飲食した時にむせるのが多いのか。飲み込む時に上を向いて飲まないと飲み込めない、食事に時間がかかる、口からこぼすことが多いなどです。
痰がからんだような声になることもあります。

日常生活内では、痰が絡みやすい、微熱の発熱が多い、食事時でもないのによだれがよく出る、食欲が低下するなどの症状が出ることがあります。

誤嚥事故は、一口目で起こりやすいと言われるため、認知症の方や意識レベルが低い方に食事介助をする場合、一口目の時に声掛けをして「食べる事に意識を集中」させることで誤嚥を防ぐことができます。

スプーンで食べ物を口に運ぶ場合は「その人に合った一口の量」を把握する必要があります。
共通して言えるのは、スプーンの大きさは浅く小さめのものを選びます。
大きいスプーンは量が多くなりがちで、誤嚥を招きやすくなります。

口腔内の環境を整えるもの大事なことです。
合わない義歯は噛みづらく、噛む力も入りにくいです。加齢によって歯が抜けてその後部分入れ歯などを入れていない場合も、隙間から噛み砕けていない食べ物が喉に行ってしまう事もあります。
状況に合わせて、食材の調理方法も工夫します。

また、食事の時間帯にも気を配りたいところです。
高齢者の方の中には、食事に体力を使いすぎて、食事中に眠ってしまう方もいます。
しっかり覚醒した状態で食事を摂る事が一番望ましいので、健康維持のためにも規則正しい生活をおくるよう心がけましょう。

「起きる」「寝る」のメリハリのある生活を送ることも、意外にも誤嚥を防ぐことに繋がります。